連載
女の気持ち
女性読者からの投稿欄「女の気持ち」。「男の気持ち」とともに出来事や悩みなど「時代の心」を映しています。
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卒寿の祝い 福岡県久留米市・馬場恵子(86歳)
2024/5/24 05:04 550文字今年90歳を迎えた私の夫は、会社を昨年退職し運転免許証も返納して、私と2人でデイケアに週3回行くようになりました。 夫は大学卒業後、自分で米穀卸業の会社を設立して70年近く。20人の社員と共に毎日一生懸命働いてくれました。私は夫と二十歳で結婚し、多くの社員と大家族の中で仕事をして2女1男を育て、夫
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娘と私の一歩 兵庫県川西市・宮路陶子(自営・53歳)
2024/5/24 05:04 565文字夕食時、娘から電話が鳴った。娘はこの春から新社会人として1人暮らしを始めた。いつもはメールだが、よほどの緊急事態か。緊張して電話をとると「ハムスターがもう駄目かも」と涙声だった。 娘の引っ越しに伴い、2年半かわいがっていたハムスターを往復10時間かけて車で運んだ。寿命とは思うが、1人で暮らし始めた
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楽しい外遊び 東京都世田谷区・古市結富子(医師・45歳)
2024/5/24 02:00 552文字「行ってきまーす!」 小学4年生の次男は休日はほとんど、友達と外遊びをして過ごしている。友達が誘いに来ると、朝食の途中でもパジャマ姿のまま飛び出していく。熱中しすぎて昼食に帰るのを忘れるくらいだ。 マンション敷地内には、すべり台とジャングルジムのあるシンプルな公園だけ。自然豊かとはいえない環境で、
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五月人形 大阪府八尾市・佐々木祥子(主婦・70歳)
2024/5/23 05:16 557文字42年ぶりに押し入れから出した五月人形を、先日片付けた。長男誕生の翌年購入したものだが、わだかまりがあって初節句に飾ったきりだった。昨年次女が男児を出産したおかげで、ようやく人形も日の目を見ることができた。 わだかまりの理由は嫁しゅうとめの確執である。母親がいない私は、しゅうとめに「節句の祝いは嫁
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順番待ち 神奈川県綾瀬市・飯島理美子(パート・63歳)
2024/5/23 02:01 542文字大型連休に、長野県に住む娘と1歳9カ月になる孫が帰省してきた。孫は踊りが大好きで、片言のおしゃべりもおもしろい。普段夫と2人暮らしの家の中は、ヒマワリが咲いたかのようにパッと明るくなる。 孫の成長は早い。「窮屈になったので新しいスニーカーがほしい」と娘が上目づかいで言う。遠距離で日ごろ会えないぶん
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寄り添う 広島県竹原市・宇原福美(非常勤講師・67歳)
2024/5/22 05:08 550文字母が他界し、97歳になる父の介護を始めて8年目。この間、父と向き合いながら、父は先を見通す力があるのではないかと感じることが何度かあった。 1回目は、母の納骨が終わった頃、いきなり「軽い掃除機を買ってくれ」と言うようになった。父は掃除機をほとんど使わないので「どうして?」と聞くと、「気になるところ
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母のベスト 岡山市北区・江国千春(主婦・62歳)
2024/5/21 05:18 557文字衣替えの季節がやってきた。1年前、亡き母の服と私の不要な服をたくさん古着屋に持って行った。買い取ってもらってもわずかな額にしかならないが、まだ着られる服を捨てるのはもったいなく、衣替えの度に持って行く。 半年前、次女と外出の途中でその古着屋に寄った。査定が終わるまで店内を見ていたら、母の服を見つけ
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理想の夫婦像 愛知県西尾市・杉浦楓(大学生・18歳)
2024/5/21 02:00 526文字12日は母の日だったので、母が好きなパンを買いに行きました。 パン屋にはたくさんのお客さんがいました。姉妹で来たりお父さんと息子さんで来たり、ご夫婦で来たりとさまざまでした。皆さん、お母さんの好きなパンを選んでいたのでしょうか。私もパンを選び終わり列に並んだとき、すてきな老夫婦に出会いました。 パ
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小1の壁 福岡県朝倉市・大隈美由紀(自営業・63歳)
2024/5/20 05:06 557文字介護施設の栄養士として働いていた次女。幼子を職場近くの保育園に預け、時には延長保育で7時までお願いすることもあったという。一人っ子の孫娘はこの春、小学1年生になった。そこで「小1の壁」で悩んだ次女は退職を決めた。保育園からのお友達とは校区が違い、全く知らないお友達の中で迎える小学校生活。まず不安な
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ヤモリの介護 奈良市・久保祐子(主婦・45歳)
2024/5/20 05:06 568文字娘が飼っているニホンヤモリが「くる病」になったらしく脱皮の際に顎(あご)の骨が折れてしまった。うちのヤモリは生きた昆虫しか食べないので、口が閉じられなければ自力で餌を食べることは難しい。 10歳の娘が昨年友達から譲り受け、名前を付けてかわいがってきたヤモリである。娘はショックを受けて泣き、世話を手
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自分らしく 神奈川県横須賀市・佐藤弘美(無職・77歳)
2024/5/20 02:01 536文字本紙地域面、シニアのおしゃれについて書かれた香山リカさんの「ココロの万華鏡」を拝読して、とても明るい気持ちになりました。 若いころは私なりにおしゃれを楽しんでいました。自分に似合う服はわかりましたし後悔することはありませんでした。ところが70歳を超えたころから、おしゃれがわからなくなってしまったの
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日にち薬 オーストラリア在住 ファウラー・安元文子(保育士・46歳)
2024/5/19 05:23 545文字昨年亡くなった母の納骨を、無事に終えたとの連絡と同時に、その知らせは届いた。20年来の友人が50歳の若さで亡くなったというのだ。心臓発作で何の前触れもなく、5月に会う約束だけ中ぶらりんのまま、旅立って行った。 母の死後、すっかり地盤が緩くなっていた私の心は、その事実を受け止めることも、拒むこともで
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田植えの季節 岡山県倉敷市・三谷原るり子(大学生・69歳)
2024/5/19 05:23 551文字「明日、朝7時からもみまきをするぞ!」。夫の声が聞こえた。「はーい」 早く米作りをやめてほしい私。お米ぐらい、しんどい思いをして作らなくても買えばいいのにと、つい思ってしまう。近所で米作りをやめたという奥様がうらやましい。 夫はできる限り米作りをしたいと言っている。30キロの米袋を持ち上げられる間
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クロスワード 岐阜県八百津町・纐纈美枝子(無職・84歳)
2024/5/19 02:01 544文字日曜本紙に掲載のクロスワードパズルにハマっている。以前はとても難しくて歯が立たないとあきらめていた。 コロナ禍が収束して娘や孫たちが帰省するようになり、一緒に挑戦したことがあった。すると答えらしい言葉が出てきて皆大喜び。それからは1人で挑戦し続けている。 日曜の朝は、ほかの記事は後回し。朝食後すぐ
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知覧への旅行 福岡県太宰府市・香山博美(主婦・38歳)
2024/5/17 05:32 553文字3月末に鹿児島県の知覧に家族旅行に行ってきた。目的は知覧特攻平和会館だ。隣の平和公園は桜が満開で、お花見を楽しむ家族連れが多く、とてもにぎわっていた。 平和会館へ行きたいと言ったのは夫だった。私は少しためらった。私は人や出来事に感情移入しすぎるあまり、自分の心が疲弊してしまうのを恐れた。でも、ずっ
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私の宝物 堺市北区・前田洋子(主婦・71歳)
2024/5/17 05:31 551文字「車椅子に乗ったらどこでも行ける」と言って、北海道、東北、北陸などいろんな所によく2人で旅行した。あと5日で93歳という最後の日まで鹿児島で一人暮らしをして頑張った母が、3月に亡くなった。 いつも明るく好奇心旺盛の母から、亡くなる2週間くらい前、元気のない声で電話があった。気になって様子を見に帰る
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気の合う同期 東京都八王子市・柳沢紀代美(会社員・59歳)
2024/5/17 02:01 536文字10年ぶりに会社の同期と会った。入社当初から気が合い、2人ともお酒が好きなので東京の都心で飲んだり合コンに参加したりと一緒に青春を過ごした。優しくて思いやりのある友人だ。 お互い結婚をして勤務地も離れ、会わなくなっていたが今年の年賀状に「退職します。会いたいです」と携帯番号が書いてあり、久しぶりに
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ATM? 奈良県大和郡山市・匿名(パート・54歳)
2024/5/16 05:07 569文字「旦那はATM(現金自動受払機)」。夫は生活費を稼いでくるだけの存在という意味だ。私はその言い方には抵抗がある。が、実際には夫は自らATMになってしまっている。暮らしのさまざまな営みの中で、仕事をすることだけが自分の役割だと思っているようだ。家事育児全般、家庭を切り盛りするさまざまなことは私の役割
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美容院にて 山口県下関市 豊崎香穂理(家業手伝い・56歳)
2024/5/16 05:07 564文字私は美容院で雑誌を読むのを無上の喜びとしている。が、座り心地のいい椅子にじっとしていると眠くなる。その日もカラーリングの最中に雑誌が床に落ちてしまった。 「大丈夫です。眠くなる方、多いですよ。私は今作業中なので本は取ってあげられないけど」と手袋をつけて私の髪に液をつけてくれている美容師さんの言葉に
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共倒れの危機 神奈川県座間市・柏倉絹子(無職・76歳)
2024/5/16 02:00 531文字人生後半に、こんなストーリーが待っているとは思わなかった。 13年前、夫が脳梗塞(こうそく)になった。半身まひとなり公的援助や私の介護を受け、自宅で生活するようになった。私の1週間の予定はリハビリの見守りやデイサービスの準備、通院の付き添いなどで埋まっていく。これらと並行して家事をこなしていくのだ
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