歯と歯の間に隙間があることがあります。その場合、それが先天的か後天的かを見極める必要があります。
 
 親不知(第3大臼歯)以外の、第2大臼歯迄の上下28本の歯は通常、12~14才位には萌出が終わっています。また上下顎骨は、15歳位までにほぼ成長が終わり、厳密には20歳位までわずかな成長が残ります。

 上顎あるいは下顎において、片方(右側あるいは左側)の第2大臼歯からもう一方の第2大臼歯までの、14本の歯の幅の合計をAとし、それらの歯が埋まっている歯槽骨の、U字型の端から端までの距離をBとします。

 A=Bであれば、口唇、頬、舌に支えられ、歯は隙間なく並びます。(上下の歯の位置関係は別です。)
 
 A>Bであれば、歯並びは重なり、八重歯になり転位(歯列の外に位置する。)が起きます。

 A<Bであれば、歯と歯の間に隙間ができることになります。

 三者のうち、あとの二者を、ディスクレパンシィ(不一致。相違。)と言っています。最後の一者が、歯と歯の間に隙間ができる先天的な場合です。

 後天的な場合を例に挙げると、上顎の親不知の挺出が早期接触になり、下顎が前方に偏位したり、臼歯の役割であるバーティカル ストップが、何らかの理由で失われると、上顎前歯が前方へ移動し、隙間が生じます。

 歯と歯の間の隙間を是正することにより、審美性が回復します。また、プロキシマル コンタクト(隣接歯との接触)の獲得で、歯の位置が安定し咬合が確立されます。ただし後天的な場合は、原因になっている問題を解決することが、治療のプライオリティー(優先順位)になります。(大)