X線診査を患者さんに拒否されることがあります。おそらく放射線被曝による、為害性を気にされてのことだと思います。

 患者さんにとっては、何らかの考えがあってのことでしょうが、現代の歯科治療で、X線を使わない処置には限界があり、片腕をもがれたような状態での診療を余儀なくされます。

 もしお口の中の組織が敏感で、少しの異常でもすぐ明確な症状として出現するのなら、X線がなくても問診と肉眼所見で、ある程度の予測はつくかも知れません。

 そう、お口の中の組織は鈍感なのです。もしかするとヒトを造りし神が、いろいろな物が出入りする口腔内を、病気に関する限り、あえて鈍感にしたのではないでしょうか? 食物中の異物に対しては、誤嚥を防ぐためか敏感な気がします。

 歯科疾患はほとんどの場合、慢性的で実際に病気が進行していても、初期から中期にかけて症状が表面化せず、症状の有無を拠り所にすると、手遅れになります。なぜなら、症状が頻発して治したいと思ったときには、かなり進行していることが多いからです。

 その症状が出ない、早い段階での診断に貢献するのが、X線なのです。 なんといっても、見えないところが見えるのですから・・・(大)

 P.S.なお妊婦に関しては、X線を撮らないことを原則にしています。