X線によって得られる恩恵は、言わずもがな、『見えないものを見ることができる!』・・・・ということに尽きるのではないでしょうか?

 第一に、X線が役立つのは、診査、診断です。 初診において、主訴、問診、肉眼所見、触診、打診、歯周ポケット検査、冷熱刺激による反応・・・と検査をすすめていきますが、この時点での診断は、いわば”当たりを付ける!”という段階でしかありません。 それを確認し明確にしてくれるのが、見えないところが見えるX線なのです。 具体的には、虫歯の範囲/ 歯槽骨の吸収程度/ 顎関節症の徴候等です。 これによって、誤診も防ぐことができるでしょうし、スピーディな治療にも結びつきます。

 第二に、上記以外のさまざまな確認ができることです。 例えば、 抜歯前の周囲組織との位置関係/ 抜歯後の取り残しがないか/ 根管治療時の根長測定/ 同じく根湾曲度の確認/ 根管充填後の適否/ 歯石除去後の適否/ 修復物の適合/ フィステル*から不投影性の材料を挿入することで可能になる原因歯の確認などです。

 第三に、ある病的なX線投影像が 、拡大しつつあるのか、あるいは消退か、停滞かの判断は、時間的経過のある複数のX線を、比較検討することで得られるのです。

 このように X線から得られる情報は、今や現代の歯科治療に、欠かせないものになっており、なおかつ疾病の診査、診断、経過観察に大きく貢献しています。(大) 

 *フィステル(《医》 a fistulous opening;a fistula;瘻孔):瘻管の開口部。 根尖(歯根の先端。)周囲の病巣等から、管状(瘻管)に骨や軟組織を吸収して、膿などの浸出液が出る開口部のこと。 歯肉にできる場合を内歯瘻、顔面皮膚にできる場合を外歯瘻と呼ぶ。