歯周治療における初期治療の出来不出来は、歯周外科手術の色合いをかなり違ったものにします。

 初期治療が功を奏さず炎症の抑制が不十分ですと、手術中、麻酔が効きにくいうえ出血も多く、そのなかで歯石を残さず廓清する(すっかり取りきる)には非常に困難を伴います。結果、時間も通常以上にかかってしまい、挙げ句の果て歯石の取り残しにつながる恐れがあります。つまり歯周病が治らない可能性が出てきてしまいます。

 初期治療による炎症抑制が十分ですと、麻酔も必要最小限の量で十分な効果が得られ、出血も少なく、歯石を見つけることも、取り除いて根面を滑沢にすることも円滑にすすんで、手術時間は最短で済みます。それは手術後の後遺症も少なくさせ、すぐれた創傷治癒をもたらすのです。

 初期治療の是非は、それが外科手術の是非に、ひいては歯周治療全体の是非に直結することになります。(大)