みなさまおはようございます。 東京のプロ矯正歯科 院長 田中憲男です!

本日も、歯列矯正治療に役立つ有意義な情報を東京より発信していきます。

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うっとしい天候不順の毎日が続いております。
運動会のシーズンですので、本来ならばこのような天候になることはまれなのですが、やはり異常気象なのか?
地球温暖化の影響なのか?気になるところです。

プロ矯正歯科が開業したのは平成16年4月ですので、本年で12年目を迎えました。

12年間の間に矯正相談として来院された患者さんの数は3000名くらいおります。

その中から実際に治療を開始することになった患者さんは約1500名程度だと思います。

その中でも最初に担当した症例というのは記憶に残るものです。


本日はそんな患者さんが久しぶりに定期健診に来てくれました。

初診年月は平成16年8月 当時31歳でした

現在は平成28年9月 43歳です。


当時、記憶に残っているのは 初回からメッチャ難しい症例が来たな〜 という感じでした。

今の自分であればたいしたことはないのですが、当時の自分の技量はまだまだ成長途中、経験不足な感は否めません。


過去にも何回か登場している症例ですが、 改めて治療を振り返る意味として本日用いることにしまいた。



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当時、外科矯正手術と言えば、矯正治療単独では十分な結果を得ることが難しいといわれた場合の対応という意味合いが強かったです。


骨格性の下顎前突症 反対咬合 叢生  開咬  です。


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一見、横からみると反対咬合の程度は軽度に見えますが、左右の咬み合わせをチェックすると


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ほとんど奥歯が咬みあっていない状況でした。

また、受け口の程度がひどいため、唇を巻き込んでしまうことで、きれいな写真を撮影することも難しかったです。

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下顎前突だけでも難しいのに、叢生です



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上顎のほうはもっとシビアな叢生でした。







レントゲン分析では



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あきらかに下顎の偏位が左側にずれてました。

当時は歯科用CTを導入していなかったこともあり、このような単純X線写真での診断が主流でした。




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これは横方向から撮影した側面頭部X線規格写真 です



赤色の部分が本症例の外形 青色が理想の日本人の外形です


分析結果からは、上顎は小さく、上顎の前歯は前方に突出
一方で、下顎のそれは著しく大きく、一方で下顎枝の幅は狭い状況です。



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治療方針としては 上下顎骨切り手術を併用した外科矯正治療となりました。

なお、抜歯部位は 上顎は左右4番 下顎は左右8番となりました。

顎の移動量、方向については、 上顎は前方移動量7ミリ 下顎は後方移動量13ミリ 合計20ミリの計画でした。

ちなみに、上顎骨の前方移動量の限界は7ミリ程度 下顎は15ミリ程度といわれてます。

つまり、本症例の場合は 上顎は移動量限界 下顎も移動量ほぼ限界という症例でした。


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通法に従い、マルチブラケット装置を装着します。
すでに抜歯は完了し、前歯の叢生も改善してきてます。



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横からみると、反対咬合の程度がかなり厳しいのが理解できます


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左右側面はまったくかみあっていません。




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手術後の咬み合わせを考慮して、術前の上下の歯列補正をおこなっていきます






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この、手術を予測した上下の歯列補正については






経験を積み重ねていった結果、非常に効率的におこなうことが可能となった分野です。



当時は十分な経験もなかったことから、患者さんには申し訳ないのですが、試行錯誤の連続でした。



ようやく、手術が可能な状況になりました。


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当時の場合は、外科医がOKをださないと、手術中止になってしまう状況でした。

現在でも基本は同じですが、 外科医との付き合いも10年以上継続してきた結果、信頼関係も構築できました。

そのため、 少々不十分な術前矯正治療でも、手術をしてくれるようになりました。



横方向の状況です


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さきほどの横方向です



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大差ないようにみえますが、 この時点で手術を計画すると

上顎の移動量7ミリ 下顎の移動量15ミリ という限界値を超えてしまう 顎の移動量となってしまいます。


そのため、 計画した顎の移動量に収まるように 手術前矯正治療をおこなってきました。


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手術前矯正治療の期間はおおよそ1年6ヵ月です



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上下の顎はまったく咬みあっておりませんが、手術後を予測しての歯列矯正治療です



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無事に手術が完了して、手術後治療を開始しました。





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本人も本当に治るのか心配していたと思いますので、非常にびっくりしてます。



手術後矯正治療の期間は約1年を予定してます。






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残った空隙を閉鎖すること、 また、上下の歯がしっかりと咬みあうように術後矯正を開始します。




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手術直後は口があきずらいので、きれいな写真をとるのが難しいです




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おおよそ、矯正装置装着してから2年6ヵ月が経過しました。
本日矯正装置を撤去しました。


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これからは取り外し式の保定装置になります



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横方向もしっかりと咬みあってます



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反対側も同様です




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下顎は親不知のみの抜歯で対応しました。



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上顎は左右4番抜歯での対応です。


左側は親不知を残しております。





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あれから10年 


ワイヤー装置がはずれてからおおよそ10年が経過しました。


どのような状況になっているのでしょう?














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かなり安定した咬合です




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特に


上下の前歯は理想的な関係を維持してます。





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左右側に関しても咬合は安定してます。


若干、歯肉が下がっている部分が散見しますが、 年齢43歳ですので許容範囲と言えるでしょう。








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いくつかの歯は虫歯治療されていました。






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また、左側の親不知は抜歯されてました。





歯列矯正治療は 治療を担当する医師側も非常にやりがいのある職業と思います。


一方で、治療を受ける側の人の人生も変えてしまう影響力があります。





本症例の場合、男性で31歳 独身で 治療を決断するのは勇気もあったと思います。



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43歳の現在



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当時31歳



43歳の現在




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当時31歳




43歳の現在




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ただ、このように良好な結果につながったのは、治療開始年齢が31歳と若かったこともプラスでした。




治療開始年齢が43歳であれば、同じような結果にはならなかったと思います。






本日も最後までありがとうございました。



今日も1日がんばりましょう!


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